聖都ヒヴァで泊まった宿には、小さいけどすごく可愛いキッチンがあって、そこがちょっとした交流の場になっていた。ドミトリーに泊まっている人たちが朝や夕方に集まって、コーヒーを淹れたり、ちょっとした食事を作ったりしながら、自然と会話が始まる。そんなホステルってかんじのユルい空間が私は大好き。
中国から来たという、私と同年代の2人の女性と話す機会があった。なんと彼女たちはアフリカ旅行中に知り合って意気投合し、今は一緒に旅をしているらしい。そのうちの1人は、もう2年も旅を続けているとのこと。そろそろ帰国を考えているみたいだけど、2年も世界を旅してきた彼女の話には、説得力と深みがあった。自分の仕事を一度手放して、長い旅に出るという決断。とても素晴らしい生き方だなと思った。めちゃくちゃ 中国語訛りだけど英語がすごく堪能 だった。
また、インドから来たという男の子とも会った。彼も3ヶ月ほど旅をしている最中で、「カザフスタンとかこのへん回ってる」的なことを軽やかに話してくれた。インドなまりの英語が愛しい…笑
以前参加した多言語習得ワークショップで、「いろんななまり、いろんな世代の、いろんな英語に触れることがすごく大事」とマサチューセッツ工科大学の言語学教授が力説していたのを思い出した。ホステルでも本当にそう思って日々過ごしているけど、こうして旅を通じて実際にさまざまな英語に触れてみると、その言葉の重みが再確認できるなあ。
本当に、現実の世界で話されている英語って、学校のリスニング教材のような整った発音のものは少ない。国ごとのなまりや、話し方の癖、スピード、声のトーン、どれもバラバラ。でも、それが「生きている言葉」。「通じ合いたい」という気持ちがあれば何とかなるし、むしろそういう混沌としたリアルな英語の中でこそ、言葉は育つのだと感じる。学びって、教科書の中だけじゃなくて、こういう場所にこそあるんだなとつくづく思う。だからこそ 英語学習中の学生さんには 教科書を1回 捨てて リアルな場にどんどん出て欲しいって思っている。もちろん文法や語彙を知ることも大切だけど、それだけでは言葉は自分のものにならない。実際に声を出して話してみること、伝わらなくて悔しい思いをすること、それでも伝えようとする経験の中にこそ、本当の「英語力」が育っていく。このネガティブな感情を何度も味わうことなしに絶対話せるようにはならない!
こういう共用スペースの会話が昔は本〜〜〜当に苦手だった。英会話が得意じゃなかった頃は、みんなが何を話しているのかよく分からなくて、ただヘラヘラと笑ってごまかすしかなかった。でも、今回こうして普通に話ができている自分がいる。ちゃんと聞き取れて、返事もできて、リアルな会話が楽しめている。
それにしても、年齢って本当にただの数字だなと思う。その中国人女性の1人が、実は私のひとつ下の年齢だった。なんだか勝手に親近感を感じてしまったし、同世代の女性が一人旅をしているというのも、どこか嬉しかった。自分も同じように旅をして、し続けたいと思っているから、なおさら。
正直に言えば、30代半ばの女性が家族をおいてひとりで自由に旅をしていると、世間からちょっと白い目で見られることがあるのも分かっている。でも、自分が納得して歩いている道なら、それでいいじゃないかと思う。誰かと比べるための人生じゃないし、自分の選んだ旅路には誇りを持っていたい
ところで、旅の途中でじわじわと感じ始めていたのが「野菜不足」と「便秘」。これは実は昔にトルコを旅したときにもまったく同じことで悩んだ記憶がある。あのときも肉と炭水化物のオンパレードで、気がつけば腸が完全にストライキ状態。今回もやっぱり同じだった。水はしっかり飲んでるし、飲むヨーグルトもなるべく摂るようにしてるけれど、どうしても生野菜や食物繊維が極端に少ないのだ。そういえば、便秘薬を忘れた。ちょっと痛い。
現地のスーパーマーケットやバザールでドライフルーツ(プルーンとか干しアプリコットとか)を見つけたら、迷わず買おうとおもう。あと、少しでも野菜入りのスープや惣菜パン、果物を見かけたら意識的に摂るようにしないと、あとから地味につらくなる。これはもう、自分への旅メモとしても強く書き残しておきたい。
ウズベキスタンを旅していて思うのは、「物価が比較的安い」ということ。観光地であっても、外食や移動にかかるお金はけっこう少なくて、ついつい財布の紐がゆるんでしまう。最初の2日で私が実際に現地で使った金額を、日本円と現地通貨(スム)でまとめてみました。両替レートは「70,000円=4,900,000スム」、つまり1円あたり約70スムで計算しています。※実際に空港の両替所で適用されたレートです。出国 直前に少し 円高に触れていたので 期待していたが思ったより 日本円が弱すぎる。
2025年4月28日 この日は主にタシュケント市内での移動と宿泊だけ。夜着いたので)
・スーパーでの買い物:40,000スム(約571円)
水、ポテチ、飲むヨーグルトを購入。
・ホテル宿泊費:270,000スム(約3,857円)
豪華ではないが 辺鄙なところにあるわけでもないホテルでこの価格はかなりお得感あり。 もちろん ドミトリーではなくて個室の値段です。
・タクシー移動:12,000スム(約171円)
市内移動で利用。配車アプリを使えば簡単で明朗会計。
2025年4月29日 この日はウルゲンチからヒヴァへの移動日。食事もたっぷり楽しみました。
・空港での朝食(コーヒーとパン):45,000スム(約643円)
中に具の入った惣菜パンとホットラテで一息。空港価格でもこのくらい。
・ウルゲンチ空港からのバス移動:2,000スム(約29円)
破格のローカルバス。公共交通機関がとにかく安いのがありがたい。
・トロリーバス乗車:4,000スム(約57円)
正直 いくらかよくわからなかったので 2000スム札を2枚ドライバー さんに見せたら 2枚とも受け取られた(笑)。車両に揺られてのんびりヒヴァへ。
・タクシー利用:5,000スム(約71円)
暇では配車アプリが使えないという話だったけど実際 開いたら 数台だけ走っていてラッキー。ちょっとした距離でも気軽に使える。
・スカーフ購入:60,000スム(約857円)
イチャンカラでおばちゃんに巻いてもらって購入。寒かったので助かった。 正直もっと 値切れたと思うし高い買い物感はあるけどまあいい。
・昼食(シャシリク、麺料理、紅茶):約90,000スム(約1,286円)
ボリュームたっぷりの羊肉串と不思議な味わいのローカル麺。お茶も含めて大満足。
・タクシー移動:7,500スム(約107円)
もう一度イチャンカラに戻ろうと配車アプリ。安い。
・スーパーでの買い物:45,000スム(約643円)
またもやポテチ、飲むヨーグルト、翌朝の朝ごはん用クッキー
・水の購入:5,000スム(約71円)
1500mlのペットボトル。水分補給はこまめに。水が安いのは本当にありがたいね。
・ホテル1泊 190,000スム ÷ 70スム ≒ 2,714円
こうやって振り返ると、1日中動いて、観光も食事も充実して、それでも5000〜8000円。観光地でも値段は良心的で、しっかりした食事をしても1,000円ちょっとかな。ローカルの交通機関やバザールでの買い物は本当に安いし、交渉も旅の醍醐味のひとつ。ウズベキスタン、この円安の中コスパ旅にはかなりおすすめ。ただし コンビニのようなものはなくてちょっとした買い物は少し歩いて地元商店とかマーケットを目指す しかない。なので自分が取ったホテルが 朝食付きかどうかはよく確認した方がいいと思います。あとは東南アジアと違って道端に屋台はないです。
ホテル近くのお気に入りのレストランに、今日も行ってみた。旅先で「また来たいな」と思えるお店って意外と少ないから、そう思えた場所には必ず再訪することにしている。味が確かだってわかってるし、昨日対応してくれたおじさんの「また来たか」って感じのニヤニヤした表情もちょっと面白くていい。
ウズベキスタンの中年おじさんたちは、普段あんまりニコニコしてるわけじゃなくて、基本はちょっと渋めの、しかめっ面。それだけに、ふいに笑ってくれると、すごく嬉しくなる。たったそれだけのことで、ぐっと距離が縮まったような気がしてしまう。(勝手に)
今日はプロフを食べようと決めてたんだけど、まさかの「今日はないよ」って言われてガーン…!気を取り直して、深刻な野菜不足を解消すべく、サラダとシャシリクを1本、そしてマンティ(蒸し餃子)を注文。さらにサムサ(ミートパイ)は持ち帰り用に包んでもらった。
このマンティが本当に美味しくて口の中を火傷するほどアツアツの肉汁が最高。もちろんこれも 羊肉。匂いとか全然なくて 言われなければわからないほど。サラダはパクチーがよくきいていて美味しかった。
ヒヴァ最終日の午後、イチャン・カラの中をもう一度ゆっくり歩こうと思って、のんびり宿で過ごしてから出発。すると、突然現地の女の子たちに話しかけられた。二人組で、「Where are you from?」って英語で聞かれて、「当ててみて?」と返したら、あっさり「Japan!」と当てられてしまった。笑
聞けば、彼女たちはウルゲンチの中学生で、今日は遠足(あるいは修学旅行?)でイチャン・カラを訪れていたらしい。修学旅行先が世界遺産って、やっぱりすごい。日本の飴をおすそ分けして、記念に写真もパチリ。真ん中にいた子が、すごく日本人っぽい顔立ちをしていて、思わず親近感。ウズベキスタンの人々はものすごく ヨーロッパっぽい顔立ちの人とかなり日本人に近い顔をしてる人が混在しているなと思う。
帰り道では、地元の配車アプリ(Uberのようなもの)で呼んだタクシーに乗ったんだけど、おじさん運転手がまさかのカーブをドリフトする勢いで突っ込んで、本気で寿命が縮む思いをした。笑 こういうのも旅の思い出ってことで…!
私は鉄道旅が大好きだ。都内で鉄道会社に勤めていたこともある。ヨーロッパをはじめ、タイ・ラオス・ミャンマーなど、いろんな国の鉄道に乗ってきた。旅の移動手段としてだけでなく、鉄道そのものを味わうことが目的になることもあるくらいだ。そして今回、ついにこの瞬間がやってきた!
ウズベキスタン国鉄――O’zbekiston Temir Yo’llariに乗車!
今回は寝台車での移動。二段ベッドの上段だったんだけど、ハシゴがない!しかもスペースがかなり狭い!正直、寝心地はあまり良くない。いや、最悪。でもそれが…最高。
ひとり旅って、自分のペースで無茶ができる自由がある。それが嬉しいし、愛おしい。子供を持った今なら更にそう思う。どんなに不便でも、それを「楽しい思い出」に塗り替えられるのが、旅の魔法だと思う。
誰かが車内で食べているスナックの豆の匂い。
ガタガタと不規則に揺れる車体のリズム。
どこかの窓がほんの少し開いていて、そこからスースーと冷たい風が入り込んでくる。
こんなに狭い空間で、どうやってセットするのか分からないリネン一式。
切れそうで切れない、微妙な電波。
そして、たまに通り過ぎていく物売りの人の声。
そんなひとつひとつの要素が、鉄道旅を構成している。
決して快適とは言えない。でも、こういう「不完全さ」を味わうたびに旅の思い出って濃くなるとおもう。