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このホステルができるまで6

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このホステルができるまで6

こんにちは。THE EVERGREEN HOSTEL・オーナーのはづきです。当時書き溜めていたものをベースに、このホステルができるまでを書いています。

 

■2015/8/29~9/6 -夏休み!1人北海道ツーリング

先日のA物件。置けるベッド数でざっと計算したところ、なんとか収支はつり合いそうだった。特にほかに検討している人もいないということで、とりあえず保留の状態。急いでいるならまだしも、サっと飛び出すには広島は結構遠いのである…

 

そんなこんなで気づいたら夏休みの時期。土日+5営業日OFF+土日=9連休
これをフルに使わせてもらい、フェリーで北海道に行ってひたすらバイクで色々なところに行った

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走行距離は2,800km。晴れた日も雨の日もあった。(目の前が見えないほどの雨でずぶ濡れになりながら、なかなか見つからないゲストハウス探しながら走った帯広の平野だけは絶対忘れない)
毎晩ゲストハウスかライダーハウスに泊まった。500円で1泊できたところもあった。ちょっと意味が分からない。「北海道」「ライダー」という特殊性もあるものの…(北海道のライダーさんウェルカム具合と連帯感はすごい)

 

自分の働いたお金を旅行に費やし、くたくたになるまで走って自然を眺め、地元の人やたまたま居合わせた旅行人との会話を楽しんで、ゲストハウスという自分の大好きな空間で、ぐっすり眠る。こんなに幸せなことがあるのかしらと真面目に思う。

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帰りの苫小牧港の燃えるような夕日と、もっとこの毎日が続いたらいいのにという未練たらたらな気持ちは、おそらく一生忘れることがないと思う。

 

■2015/9/6 -北海道ツーリング中、丸駒温泉で考えたこと

20150904 晴れ:今日はエクストリーム北海道ツーリング最終日。小樽から毛無山を経由して倶知安。羊蹄山や支笏湖を見て、苫小牧フェリー乗り場へ向かうことにした。小樽の宿主から聞いたおすすめコース。

 

山道は苦手だったが、この1週間知床〜羅臼や雄阿寒岳、十勝峠などなど山道ばかり行ったので相当慣れた。そして何より良いのはわたしがチンタラ走っていても誰も怒らない。怒る人が…いない……。

 

支笏湖の湖畔にあるガソリンスタンドで給油。
「現金・レギュラー満タンでお願いします」
『はーい、レギュラーね〜』
60ぐらいの日に焼けたおじちゃんが1人でやっているガソリンスタンドみたいだった。

 

給油をしながらおじちゃんは話しかけてきた。でももしおじちゃんが話しかけなくても私から話しかけてたと思う。というのも、よっぽど行きたいところがある場合でなければ大体いつもこんな感じのノープランで目的地周辺にやって来て、あとは地元の人に聞いた通りにするから。

 

『えっ、練馬(ナンバー)?東京から来たの?』
「そうなんです。今日が最終日。」
『いろいろ回れた?』
「稚内から知床まで全部!」
『うわぁ、良くやるわぁ…寒かったしょ〜…』
「完ペキな冬装備でも丁度イイからびっくりでした!
ところで、支笏湖温泉で安いとことかあります?」
『国民休暇村のとこかなぁ。…でもねェ、おすすめはやっぱりマルコマ温泉だな。』
「まるくま?」
『ま る こ ま 。丸駒温泉旅館。湖の水と繋がってる露天風呂があって、それが最高なんだわ。』
「えっ、すごい。じゃあそこ行ってみます。」
『あ、そう?こっから15キロぐらいで着くから。看板(標識)も出てるから分かるよ〜』
「ありがとうございます!行ってきます。」
『気をつけてね〜』

 

おじちゃんの言う通りガソリンスタンドから10キロ強で丸駒温泉旅館に着いた。丸駒温泉、なんと創業は大正4年らしい。日帰り入浴は大人1,000円。北海道の温泉では強気も強気。おじちゃんの前評判と価格設定が相まって、必然的に期待が…一瞬で服を脱ぎ温泉へ。内湯&普通の露天風呂とウワサの湖直結の露天風呂は離れており、30mほどの渡り廊下で繋がっている。全裸にスリッパという完全にアレなスタイルには「むしろ裸足で良くない?」と少々疑問も感じたものの、いざ湖方面へ。

 

気持ちイイ。足元の砂利からジワジワと源泉が湧いているのが何となく分かる。落ち葉や虫も入り放題。ダメな人はダメな、ちょっぴり秘湯気分のお風呂。湖と常に同じ水位になるらしく、深いときには140cmになるとか。旅館までの道は白樺の木陰が続いているせいか、バイクで来ると晴れていても完全に身体が冷えてしまう。冬みたいに冷たくなった身体に温泉がじわりと沁みた。

 

お湯が熱くないこともあり、ダラダラと温泉に入ったりデッキで身体を冷ましたりを繰り返して小一時間過ごしてしまった。土曜日の割にはあまり人が多くおらず、最終日に丁度イイまったりとした時間だった。日が当たって支笏湖の水がキラキラするのをボーっと眺めながら、この1週間のツーリングで何が楽しかったか反芻した。

 

美味しくて種類豊富な食べ物、どんなデジタル端末にも収めきれない雄大な景色、自分で運転できる楽しさとか自立心みたいなもの、…挙げればキリがないけれど、わたしは全く知らない人との1度だけの出会いと会話が楽しかった
…こう書くとなんか胡散臭いし青臭いのだが、実際本当にそうだった。かなり色んな人と話した。地元のご飯屋の人、対向車線ですれ違ったライダーハウスに泊まるバイク乗りやチャリの人、同じくひとり旅の人、駐車場で話しかけてくる人、観光地で写真を頼んだついでに話し込んだ人、宿の人、同じドミトリーに泊まる人、同じフェリーに乗る人…わたしが1人だからか、それとも県民性なのか、たまたまか、とにかくかなり色んな人と話した。北の大地は大らかだ。

 

温泉のおかげで色々思い出せて身も心もほっこりした私は、帰りにそのガソリンスタンドを通るときにたまたま外に腰掛けていたおじちゃんに手を振った。全力で感謝の念を込めて。おじちゃんはわたしのことにすぐ気がつき、満面の笑みで手を振り返してくれた(おじちゃんの反応速度にも拍手である)。そのおじちゃんと目があった瞬間、色々な嬉しい気持ちが混ざってなんといきなり涙が出てきた。自分でもびっくりした。まさか旅行先で泣くと思わなかった。

 

自力で北海道ツーリングに来れた嬉しさと、最終日まで無事楽しく過ごせた楽しさと、気持ちイイ温泉に入れた嬉しさと、地元のおじちゃんによくしてもらった嬉しさと、おじちゃんに自分の感謝の気持ちが伝わった嬉しさと、それをおじちゃんが恐らくキャッチしてくれただろう嬉しさが、その時のフェリー乗り場に帰るおセンチな気持ちと混ざって、それで多分泣けた。景色や食べ物では、私は泣かない。ガソリンスタンドのおじちゃんはこの旅の象徴的な存在だった。このどうしようもない結晶みたいな気持ちが奇跡的に起こるものだから、旅も、旅先のおしゃべりもやめられない。

 

そしてこういう気持ちがホステルをやるぞという気持ちをさらに強くする。

Author

THE EVERGREEN HOSTELのオーナー・はづきです。 The owner of THE EVERGREEN HOSTEL.Thank you for reading my blog.